宮沢賢治「春と修羅」へのアプローチ

 宮沢賢治の詩集「春と修羅」を読んだ。普通、詩集と聞いて想像できるような内容ではなかった。たぶん詩集というカテゴライズは正しくないんだと思った。読んでいて、あまりにも読者と共有体験が少なく、自分からの遊離感は相当なものだったが、しかしながら宮沢賢治の感性というものはやはり魅了的であって(そのような気がして)、自分を重ねるというよりは、彼が語りかけることを知るために読んでいるような気分になる。

 彼が語りかける多くのことの大部分は理解不能である。それでも言葉の響きや語句が想起させるイメージに浸ることはできる。ある瞬間、詩に意味を感じるときがくる。その瞬間は格別である。それ以外は、彼の感性との間に不思議な距離感を感じながら、流れ落ちてくる色彩を味わうのである。これが今現在の自分にできる唯一の「春と修羅」へのアプローチだ。


  もうけっしてさびしくはない
  なんべんさびしくないと云ったとこで
  またさびしくなるのはきまっている
  けれどもここはこれでいいのだ
  すべてさびしさとかなしさとを焚いて
  ひとは透明な軌道をすすむ
  ラリックス ラリックス いよいよ青く
  雲はますます縮れてひかり
  かっきりみちは東へまがる


 この部分は銀河鉄道の夜に通じる部分があるように思えた。

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