柿の絵が誉められる

 ちょっと前の出来事になるが、大家さんに柿をもらった。この柿は、市販の物ではなく、大家さんの庭から採れたものであった。見た目はお世辞にも良いとは言えなかったが、渋みはなく、どこか懐かしい味がした。昔、実家で同じように採れた柿の味と似ていた気がして、うんうん、柿ってそういえばこんな味がしたなあ、って感じ。

 大家さんはわざわざその柿を玄関のドアノブに、こぎれいな紙袋で下げてくれてた。甘いので是非食べてください、というメッセージつきで。きっとこういうのが好きな人なのだろう。自分も嬉しくなって、何かお返しできたらと思った。もちろん大げさなものはだめだが。

 で、絵を習っていることもあり、簡単なお礼のメッセージとその柿を水彩で描いて、ポストに入れておいた。水彩はほとんどやったことがないので、下手っぴな絵である。まあ、メッセージの横に添えるにはふさわしい気軽な絵とも言える(…かも)。

 今朝、大家さんに会ったら、えらい誉められた。正直、あんな絵で誉められるとは思ってなかった。あなたは人を幸せにするわ! 娘も感激してたわ、と実に大げさな表現で。いやいやもちろん嬉しい。ここ一ヶ月で一番嬉しいくらいの出来事だ。こういう出来事があると、絵っていうのは本当にすばらしいなあと思える。自分は絵、そのものを描きたいという気持ちもあるが、もっとつよいのは絵を通して誰かとコミュニケーションすることだろう。

 人を幸せにする、と大家さんは言ったが、大家さんのそういう気配りというか感性の方こそ人を幸せにするんだなあと思った。
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